クヤ165-1
スパルタ教習車。
海カキ
1987年2月 廃車・2010年7月 解体
大垣
電車区
最終更新
2016.8.28
▲大垣電車区の一般公開にて。隣はクモヤ145-121。
(1987年8月/画像提供:@tentenw様)
車両紹介
運転士の育成を目的に、大垣電車区に常駐していた車両である。室内には電車の主要機器を設置し、動作状況を把握しやすくするなど、教習に特化させていた。
国鉄時代はこのような教習車が日本各地で散見されたが、客車が大半だった中、電車であるクヤ165-1は珍しい存在だった(クヤ165形はこの1両のみ)。
教習車は基本的に余剰車の改造によって登場しており、このクヤ165-1も改造前はサハシ153-15を名乗っていた。サハシ153-15はビュッフェ車であり、当時、車内では食事が提供されていたようだ。
しかし、153系は東海道線系統の準急・急行用に登場したため、1964年の東海道新幹線開業によって、当初の役目を失うことになった。京阪神地区の「新快速」などに転用される中、教習用に改造する余剰車としては、ちょうどよかったのかもしれない。
そんな経緯を経て1974年にクヤ165-1に改造されるが、新たにパンタグラフが設置されている。主に教習機器を動かす目的と思われるが、大垣電車区は低断面トンネルが存在する中央西線が近いためか、高さの低いPS23形が採用されている。
運転台は165系に準じたものを設置したほか、前面の外観は非貫通の3枚窓、かつ大形ライトという特徴的なスタイルとなった。
教習車として過ごしたのは13年で、1987年に廃車となった。廃車後も引き続き大垣電車区で保管され、佐久間レールパークの着工が決まると、展示車両に抜擢された。以後、貴重な153系の残党として保管されていたが、2009年に同所が閉館。一部の車両は新たにオープンするリニア・鉄道館に移ったが、残念ながらクヤ165-1は対象から外れ、2010年7月に解体された。
略歴
●1961年6月
近畿車両でサハシ153-15として落成し、田町電車区へ配置される
●1974年7月
浜松工場でクヤ165-1に改造され、大垣電車区(名古屋鉄道管理局)に配置される
●1987年2月
廃車(除籍)
●2009年11月
佐久間レールパークが閉館する
●2010年7月
解体される
※工場・車両基地の名称は当時のまま記しています